ビスケット事業、50年目のバトンを次へ──新ブランド「Theシリーズ」誕生の軌跡
試行錯誤と感謝で紡いだ3年間の歩み
2026.05.13
1948年に創業したロッテは、ガム、チョコレート、キャンディ、アイスクリーム事業に続く、第5の柱として、1976年にビスケット事業へ参入しました。はじまりは、今なお愛され続けている「チョココ」の原点である「マザービスケット」シリーズの3品です。その後、当時高級品だったケーキを手軽に楽しんでいただきたいという思いから半生菓子の開発に挑戦し、1983年に「チョコパイ」、1986年には「カスタードケーキ」が誕生しました。
一般的に「ビスケット」と「半生菓子(ケーキ)」は異なるカテゴリーとして捉えられますが、ロッテではこれらを地続きの技術から生まれた一つの大きな事業ドメイン(領域)として整理し、今日まで成長の柱として大切に育ててきました。 時代の変化に合わせて、お客さまの嗜好に寄り添いながら、この独自の歩みは50年目を迎えます。
今回13年ぶりに誕生した新ブランド「Theシリーズ」は、フィナンシェの「The BUTTER」とマドレーヌの「The CARAMEL」の2種類です。いずれも、独自の技術で特製ソースをしみ込ませることで、贅沢な味わいと、じゅんわり食感を実現しました。
プロジェクトの出発点は、「専門店のような、しっとりとした贅沢な味わいをお届けしたい」という純粋な想いでした。しかし、その理想を実現するためには、既存の生産ラインを活用しつつ、まったく異なる品質を作り出すという非常に高いハードルがありました。
2026年3月24日の東日本エリア(静岡県を含む)での先行発売に至るまで、狭山工場(埼玉県)のスタッフ、研究部門・生産部門のメンバーが費やした期間は実に3年に及びます。
この商品の大きな特徴である「じゅんわり特製ソース」は、ロッテだけの力では完成しませんでした。
ソースを生地に馴染ませつつ、機械での製造適性を保つ。この相反する難題を解決するために、原料メーカーの皆さまには多大なるご協力をいただき、共同で開発を進め、何度もの試作を経てようやく「理想のソース」が完成しました。また、外箱についても厚さを既存商品の約半分にまで抑え、「薄さ」にこだわりました。これは店頭での手に取りやすさを考えた結果ですが、薄い分、製造ラインではわずかな誤差でエラーが起きてしまいます。さらに、きれいに開封できるようにジッパーの形状を数ミリ単位で調整するなど、包材メーカーや包装機械メーカーの皆さまとも何度もラインテストを繰り返し、ようやく安定した生産に漕ぎ着けることができました。多くのプロフェッショナルの皆さまが、私たちの「こだわり」を形にするために、粘り強く伴走してくださったのです。
発売予定の2026年3月が迫る中、本当に間に合うかどうか、まさに瀬戸際の状況が続きました。「これで最後」と決めて臨んだ工場テスト。無事に成功し、2品同時の発売が確定した瞬間、現場を包んだ安堵の表情と一体感は一生忘れられません。量産化することの難しさに心が折れそうになったこともありましたが、社内外のメンバーが「より良いものを」という一点で団結したからこそ、この日を迎えることができました。チームの底力が「Theシリーズ」を生み出したのです。
店頭で目を引く鮮やかなブルー「The BUTTER」と、ビビッドなピンク「The CARAMEL」。このロゴデザインも、多くのお客さまの声に耳を傾け、試行錯誤の末にたどり着いたものです。「専門店のような体験を、もっと身近に」。その想いを「The」という一言に込めました。
私たちが目指したのは、完璧な商品を作ることだけではありません。このプロジェクトを通じて、技術を次世代に繋ぎ、50年先も愛されるロッテであり続けるための「姿勢」を確立することでした。
ふわふわなのにしっとり焼き上げる「しっとり技術」と、ソースが生地にしみ込んで一体化する「じゅんわり技術」の2つを掛け合わせた「じゅんわり製法」。この製法で作り上げたお菓子が、お客さまの日常に小さな幸せを添えられるよう、これからも私たちは誠実に、お菓子づくりと向き合っていきたいと考えています。